ソーシャルビジネスをやってみたい!
そんな熱い想いがあったとしても、何の後ろ盾も資金もない状態でスタートできるものではありません。
では、人脈やお金がない人は社会起業家になることを最初から諦めなければならないのでしょうか?そんなことはありません。
いいアイデアはあるが、金銭面がネックとなって動き出せない、という方のために用意されている支援機関や、投資機関があります。もちろんこれらは、無条件で誰でも融資や投資を受けられるわけではありません。支援や投資するに値する明確なビジョンや、熱い気持ちを伝えることで、初めて利用できると考えるべきでしょう。
現実的に利用可能なソーシャルビジネスの支援機関や投資システムについて、いくつか具体例をご紹介します。
日本政策金融公庫と言えば、主に中小企業に対しての支援的融資を行っている政策金融機関です。その日本政策金融公庫が、実はソーシャルビジネス支援資金として、社会課題解決に取り組む企業へ向けた融資も用意しているのです。
ソーシャルビジネス支援資金の概要は、以下の通りです。
対象 |
①NPO法人 |
---|---|
用途 | 事業に関連した設備資金及び運転資金 |
融資限度額 | 7,200万円(このうち運転資金は4,800万円まで) |
返済期間 |
設備資金:20年以内 |
担保・保証人 |
利用者の希望を伺いながら相談。 |
日本政策金融公庫では金銭面での融資の他に、これから起業する方に対しての事業計画サポートやソーシャルビジネス講座の実施、関連する知見記事の共有なども行っています。
起業経験そのものがない若者の利用が特に多く、事業計画の策定方法やソーシャルビジネスのリスクマネジメント、経営戦略などが学べると評判になっています。
また、需要の高まりを受け、年に30%の増加率でソーシャルビジネスを対象として融資を増やしていっているようです。1からのスタートアップを考えている方にとっては、相談相手としても最適なので、積極的に利用するべきでしょう。
ソーシャルファインナンスは直訳すれば「社会的金融」。
これではちょっと意味がわかりづらいですが、要するに社会的課題の解決や公共の利益を目的とした事業への出資を募り、それに共感した投資家が資金を提供する、という形での資金調達法です。
一般的な投資と違うのは、投資家が金銭よりも社会的リターンを求める点にあります。ここに投資することで儲かる見込みがあるから、というよりは、社会的利益が大きいからという観点で出資されるのが、ソーシャルファイナンスです。
現在の日本では、まだこのソーシャルファイナンスの普及は本格化していない、というのが正直なところですが、それでも確実に前進はしていると言えるでしょう。それは、ここ数年でのソーシャルビジネスに向けた助成金や補助金制度の増加からも明白です。
ソーシャルファイナンスの担い手としては、NPOバンクがもっとも知られています。NPOバンクとはソーシャルビジネスに出資するために存在する非営利金融機関で、市民が自発的に出資したお金を集め、それを適切な企業へと低金利で出資しています。
課題としては、ソーシャルファイナンスという概念そのものの歴史が浅く世界共通の明確な基準が存在しないこと、通常の融資とソーシャルファイナンスとの境界線があいまいなことなどが挙げられます。これらに関しては、これからの研究や研鑽が求められるところとなるでしょう。概念がはっきりすることでより多くの起業家にも知れ渡り、それがソーシャルビジネスの発展へとつながるはずです。