
社会解決柄ビジネス、いわゆるソーシャルビジネスとは、現代社会における様々な分野での弊害や問題解決を、事業として行うことを指します。
つまり、通常のビジネスが利益追求を第一目標としているのに対し、ソーシャルビジネスでは「問題解決」が主たる目的であると言えるのです。
現代社会における問題、日本国内での一例を挙げれば、
などがあります。
これらの問題は従来、行政機関が対応にあたっていました。しかし、浮上する社会問題はより複雑化し、行政機関の対応だけではうまく解決に至らないという現実があります。
こうした背景から生まれたのがソーシャルビジネスであり、単発的なボランティアのようなものではなく、持続的なビジネスとして社会問題の解決にあたる企業として存在を認識されるようになりました。
こちらのサイトでは起業や資金調達、現在の課題などソーシャルビジネスに関するあらゆる情報をまとめています。
日本でも徐々にソーシャルビジネスという概念は浸透しつつあるものの、まだそれが一体どういったものなのか、具体的にイメージできないという方も多いでしょう。まずは、ソーシャルビジネスというものの定義をしっかり把握しましょう。
①社会性
現代社会(日本に限らず)において解決が必要とされる社会問題の解決をミッションとしていること。
②事業性
問題解決に向けた動きそのものをビジネス化し、持続的に活動を進めること。
③革新性
今までにない新しい取り組み、商品やサービスの開発を目指し、新たな社会的価値を創出すること。
これら3つの条件を満たすものを、ソーシャルビジネスと定義しています。この中でも特に大事なのが、「ビジネス化し、持続的に活動を進める」という部分です。
社会問題の解決のため、という点ではボランティアとも似ている部分がありますが、この点で大きく異なります。
ソーシャルビジネスとボランティアの違いについて、もう少し詳しく確認しておきましょう。
社会的問題の解決を目指す、という点ではボランティアとソーシャルビジネスは共通しています。しかし、両者には明確な違いが2つあります。
ボランティアは活動を行う個人または団体の自発的な意志によって、利益を一切求めずに行われる社会貢献活動です。それに対し、ソーシャルビジネスでは社会問題解決活動を維持するための資金を、自らの事業によって生まれた利益で賄います。
ソーシャルビジネスは通常のビジネスと違い、利益追求を第一目的とはしていないものの、目的達成のため最低限の利益は必要とするのです。
次に持続性についてです。個人や団体の自由意志に基づくボランティア活動には報酬が発生しないため、その担い手は仕事の合間やすでにリタイアした層がメインです。あくまでそれぞれの善意によって成り立つものであり、強制される側面がないため、活動の持続性については不透明です。
対してソーシャルビジネスは、問題解決を目的として組織された企業によって行われるものであり、従事する人には正当な報酬が支払われることもあり、持続的な活動に期待ができます。
ソーシャルビジネスを行う会社を興すといっても、手続き自体は通常の法人設立と変わりません。そして起業に必要なものについても、通常の法人設立と共通している部分もあります。例えば、事業を行うための資金の確保や人脈などがそうです。
資金を確保するという点については、ソーシャルビジネスに対して助成金を出している自治体なども多いので、これらを積極的に活用するのが王道でしょう。
通常のビジネスであれば、すでに誰かがやっていることの真似事をするだけで利益を上げ、継続することも可能です。
しかし、ソーシャルビジネスを新たに立ち上げる場合、そう簡単ではありません。
まず、「社会問題の解決」という課題に対してどう向き合うか、何をどうやって解決に導くかの明確なビジョンが必要になります。そして問題解決に向けた活動を、ビジネスに直結させるアイデアも大事になるでしょう。
どちらが欠けても途中で頓挫してしまう可能性は高いです。社会問題の解決に注力しすぎて収益力が伸びず、資金難に陥るケースは実際に多いようです。
また、明確でわかりやすいビジョンを示すことができなければ、活動に賛同してくれる人も出てきません。共感してくれる投資家を増やす、ということもソーシャルビジネスの資金確保という面で非常に大事になってくるはずです。
さいごに、ソーシャルビジネスに関連する、ソーシャルイノベーションについても解説します。
ソーシャルイノベーションとは、直訳すると「社会的技術革新」。つまり社会問題を解決に導くことができる革新的な技術の開発という意味です。
定義③にあったようにソーシャルビジネスには、このソーシャルイノベーションが不可欠であり、これを成し遂げた人は社会起業家と呼ばれ、一般的な起業家とは区別されています。
このイノベーションを起こせるかどうかが、ソーシャルビジネスで成功できるかどうかの鍵と言えるでしょう。
携わる起業家には、根本のマインドとして利益よりもなによりも、社会問題を解決したい!という強い想いが必要になります。
社会問題の解決、それに共感を示す投資家や自治体を巻き込んで行われるソーシャルビジネスは、非常に清廉で魅力的なものに思われます。たしかにその通り、理想的な活動ができればこの上なく有意義なビジネスです。しかし、まだまだ課題が多いのも現状です。
大きな課題の一つとして、ソーシャルビジネスそのものの認知度がまだまだ低いこと。魅力を感じてそこで働こう!と考える人も少なければ、共感を示す投資家も少ない点が挙げられます。
人手が少ないことや資金が確保できずに事業活動を継続できず、志半ばで断念してしまった事業者も多いです。社会的課題を解決するための組織そのものに、課題があるという状況です。
この問題を解決するためには、今以上に自治体や行政からの助成金や補助を手厚くし、ソーシャルビジネス自体の活性化を図る必要があるでしょう。もちろん、助成金の不正受給など新たな問題発生も予測できるので、それらの対策も必要です。
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