社会的企業に限らず、一般企業も含めて会社にとって資金調達とはもっとも重要な問題であり、おろそかにできないことです。
売上及び利益が潤沢な状態であればよいですが、そうでなくなった時、資金をうまく調達できなければ事業を継続することができなくなってしまいます。いくら社会的課題解決への意識が高くても、そのための事業を維持できなければ、結果としては途中でやめてしまったことになり、周囲からの評価もそれまでです。
自身の強い志を結果につなげるためにも、会社経営のための資金調達を軽視することはできません。
資金調達と言えば、一般的には銀行からの融資などを思い浮かべるかと思います。もちろん、ソーシャルビジネスにおける資金調達でも銀行融資はメジャーな方法と言えます。ですがソーシャルビジネスならではの資金調達についても知っておく必要はあるはずなので、ここでいくつかの方法を挙げ、解説いたします。
事業運営を継続するための資金は、事業による収益で賄えるのが理想です。ソーシャルビジネスと言える要件として、「利益追求よりも社会課題の解決を優先する」という前提はありますが、同時にビジネスである以上最低限の収益が見込めるものを事業とする必要はあります。
サービスの提供や物品の販売、広告料、どういった形にせよそれが社会課題の解決につながるものであれば、ソーシャルビジネスとしては成り立ちます。利益追求に偏れば、それはソーシャルビジネスではなくなってしまうため、バランスを保つのが難しいという問題はあります。しかし、最初に会社の在り方を考える上で、どうやって収益を上げるか明確にしておくことは大事でしょう。
自らが掲げる課題解決に向けたビジョン。これを外部に発信していくことで、それに共感を示してくれる投資家からの出資が見込めます。そういった意味で、ソーシャルビジネスに携わる経営者にとっても、人脈は非常に重要です。
また、ここ数年で普及したクラウドファンディングを積極的に利用するのも一つの方法と言えるでしょう。これは特定の投資家ではなく、インターネットを通じて不特定多数の人に出資を募ることができる仕組みのことを指します。別名でソーシャルファンディングとも呼ばれています。
いずれの方法にしても、大事なのは人の心に響く経営理念と課題解決に向けた具体的なビジョンを示せるかどうか、です。なにもないところにお金を出してくれる人はいません。
社会的企業にとって大事な要素として、地域社会との連携や協力ができるかどうか、という点が挙げられます。
ソーシャルビジネスで取り上げられることが多いジャンルでもある高齢化問題や子育て問題、障がい者支援など。これらは行政や地域との連携が欠かせません。
そして、うまく連携を取ることで事業活動が支持されるようになれば、地域からの寄付なども見込めるようになり、経営はより好循環の波に乗ることができます。
社会が抱える課題を解決する役は、元々行政が担っていました。しかし、年々複雑化する社会課題はもはや行政の一手だけでは解決が難しくなり、その結果としてソーシャルビジネスが注目されるようになっている背景があります。
そのことは行政側も充分に理解をしており、その姿勢を示す形として、社会的企業に対する補助金や助成金が様々な形で用意されています。要するに、お金を出すので協力して課題解決に取り組みましょう、という意志表示です。
これを積極的に利用しない手はありません。ソーシャルビジネスに携わるのであれば、こういった補助金や助成金に関する情報について、常にアンテナを張っておくべきです。