ソーシャルビジネスという概念が生まれたのは、1980年代と言われています。元々は、世界中で問題となっていた、「貧困」という課題を解消するために設立された、グラミン銀行という金融機関が起源と言われています。
しかしながら、ここまで注目を集めるようになったのはごく最近になってからです。ではなぜ、ここにきてソーシャルビジネスが興味を持たれるようになったのでしょうか?
主な理由や背景としては、
などが挙げられます。
いまとなっては一般的な企業が行うビジネスと、ソーシャルビジネスとの垣根はなくなってきており、民間企業であっても社会貢献を念頭に置かなければ生き残れない時代となりつつあります。
ただ利益を追求している民間企業と、ソーシャルビジネスに携わる企業と、両者はどのような点で異なるのでしょうか?
前提として、ソーシャルビジネスに携わる企業と見なされるには、以下のすべての要素を満たしている必要があります。
①ビジネスを通じて、社会的問題の解決や改善に取り組んでいること。
②事業の目的は利益追求ではなく、社会的問題の解決が優先されていること。
③ビジネスによって生まれた利益は、事業に再投資すること。株主への配当などは優先度が低い。
④出資者や株主への配当の割合が、利益の50%以下に抑えられていること。
⑤事業収益が全体収益の50%以上であること。
⑥事業収益のうち、公的保険や行政からの委託事業収益の割合が、それぞれ50%以下に抑えられていること。
ボランティアではなく、あくまでビジネスという形をとっていることが前提ですが、利益追求よりも社会的問題解決が優先される、という点が最大の特徴と言えるでしょう。
現在、日本国内においてなんらかの形でソーシャルビジネスに関わっている企業の数は、およそ21万社あると言われています。市場規模としては16兆円前後で、取り組まれているジャンルは主に以下の通りです。
また、これらに取り組む社会的企業の特徴として、代表者に女性や高齢者が多いという点も注目に値します。女性の社会進出や、高齢化社会における自己実現という目的が形となって現れていると言えるでしょう。
現時点で表面化していない社会的課題もまだまだあります。社会的課題がある限り、ソーシャルビジネスのフィールドは広がり続けるはずです。今後も市場規模が広がっていくと見て、間違いないでしょう。
日本に限らず、今後も世界には新たな課題が次々と出てくるはずです。
である以上、ソーシャルビジネスの可能性は無限大であり、今後も成長が期待される点については疑いようがありません。
しかし、ソーシャルビジネスに携わる、ひいては新たに会社を立ち上げるということは、決して簡単なことではありません。それには問題を明確化し、解決に導くためのビジョンと継続する意志の強さが必要となるでしょう。また、社会課題を解決するソーシャルビジネス事業自体が抱える課題も存在します。それらを含めて起業を考えていく必要があるのです。
もしもソーシャルビジネスに携わりたい、という志を持っている方がいるならば、いきなりその世界に飛び込もうとするよりは、多少遠回りに思えても一般企業で社会経験を積んでみることから始めるのが無難です。社会経験を積むことで、問題解決とビジネスを結びつける視点や、継続していくことへの意志の強さを養うことができるからです。